大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)4551号 判決

然し乍ら、数個の所為が仮令短い日時距離の間で行われ且つ孰れもこれに対する罰条を同一にする場合であつても、それらの行為が孰れも別個の機会に行われたものであつて、それぞれ該罰条適用の前提要件を定めた規定内容に違反するところに係かり、而も互いにその構成要件において態様を異にし、自らその行為の性質をそれぞれ異にするものがあるときは、その数行為は、それぞれ別個の異なる犯意に出でた独立せる犯罪に属し、一罪と目すべき接続犯乃至は包括的一罪の観念をもつて律すべき限りではない。今これを本件について見るのに、成程原判示各所為が同じ日の午後四時頃から五時頃までの約一時間という短時間の間に、而も比較的短距離の間で行われた所為にかかり孰れも同じ罰条たる道路交通取締法第二十八条に該当する罪であることは洵に所論のとおりであるが、これが罰条適用の前提において原判示事実を原判決挙示の証拠にも照らし考察するときは、原判示第一の罪は道路交通取締法第七条に違反して自動車の無謀な操縦をした所為に係かり、原判示第二の罪は同法第二十四条第一項、道路交通取締令第五十三条に違反して所定事故の発生に当り警察官吏等所定の者に所定の通告を為さずして自動車を操縦した所為に属し、原判示第四の罪は道路交通取締法第二十三条の二の規定に違反して警察官吏から運転免許証の呈示を求められ乍らこれを拒み且つその所定の指示に従わなかつた所為であつて、各その所為の態様、性質を異にし、孰れも機会を異にして成立した犯意を異にする別個独立の犯罪行為に属することが明瞭である。果して然らば、前段説明するところに照し、これらの所為をもつて、接続犯乃至は包括的一罪の観念をもつて論ずべきであるとする論旨はこれを採用するに由がない。

而して、原判示第三の傷害の所為が原判示第一、二及び四の道路交通取締法第二十八条の罪の所為と互に手段結果の関係にありとする所論もまた、前段叙説するところにより事の態様に照らし、到底首肯し得られるところではないから、刑法第五十四条第一項後段所定の牽連犯の観念をもつて論じ得べき限りではない。

されば、原審が原判示所為を数個の犯罪と判断し、これに併合罪の規定を適用したことは正当であつて、論旨は理由がない。

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